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幸せの欠片

第10章 いらない


ゆかにおちたジュースをひろって、おまわりさんとてをつないだぼくは

おかあさんがいる、というばしょにつれていかれた

エレベーターをおりた、すこしくらいろうかをあるいて

なんだかへんなにおいがするドアのまえにたった


「お父さんたちは、もう中にいるよ」

「うん…」


おまわりさんがドアをかるくたたく

そして、ぼくのてをひいてなかにゆっくりとはいった


「和也…」
おとうさんがふりかえる

「かず」
おにいちゃんは、なみだをながしながらぼくをにらみつけている

「…ごめんなさ、…っ」

あやまろうとしたとたん、おにいちゃんがぼくをつきとばした

「お母さんを返せ!!」

うしろにころんだぼくは、はじめてみるおにいちゃんのおこったかおになにもいえなくなった

「かずのせいで…っ!」

なきながら、ぼくをたたく

おまわりさんがそれをとめようと、おにいちゃんをおさえた

だけどおにいちゃんは “はなせ!“ とあばれていて、おまわりさんもたたいている

おにいちゃんのそのすがたがこわくて、ぼくはゆかにころんだままかたまってしまった


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