幸せの欠片
第11章 精一杯の勇気
“デート“ だから綿密な計画がいるとか、そんな考えは持ってない
最近は、あの夢のせいか
“ただ会いたくなった“ と言われるだけで嬉しいと思う
そう考えると
申し訳ないくらい彼女の存在が希薄になるけど、もうこればかりは仕方ない
それだけ相葉さんの存在自体が、今までと違うのだから
「帰りは送るから安心して」
黙っている俺をどう思ったのか、相葉さんがそんな事を言ってきた
もしかして、不機嫌だと捉えられた?
ただ、答えに詰まっただけなんだけど
…もしもここで、帰りたくないなんて言ったら相葉さんはどんな顔をするだろうか
何となく試したい気持ちが沸き上がる
「相葉さん」
「ん?」
「えっと、…」
頭には簡単に浮かぶのに、何故か言葉に出来ない
なにこれ
何でこんなに恥ずかしくなるわけ
「どうした?」
「あ、ううん。何でもない」
サラッと言えそうになくて
言いたい言葉はやっぱり飲み込むことにした
相葉さんが運転中で良かった
今の俺の顔は見られたくない
だって絶対
…赤くなってるって分かるから