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幸せの欠片

第11章 精一杯の勇気


途中でコンビニに寄って、夕飯にする弁当を買った時

“先に車に行って“ と相葉さんを店から出してから、下着と靴下をこっそり購入した


こんなこと、バカみたいだと思う

だけど少しでも断られそうな要素を取り除いて置きたかった

仕事を休んで欲しい、とは言わない

明日の朝、一緒に出勤出来ればそれでいい


それだけの事なのに、俺のくだらない我が儘だと考えると簡単には言えなくて


だからこれは、密かな願掛けにも似ていて

ー…駄目なら捨てる

断られた時の寂しさは、引きずりたくないから



レジ袋に入ったそれを受け取って、鞄に押し込んだ俺は

よし、と小さく頷いてから、相葉さんの待つ車に戻っていった


「何か買い忘れ?」

エンジンを掛けながら訊ねる相葉さんに曖昧に笑って誤魔化す

まだ言わない

言うのは、相葉さんちに着いてから


それまでの間は、緊張で早くなった鼓動を気付かれないように静める事に集中したい

そしてさりげなく

相葉さんの負担にならないように、今度は俺から誘うんだから



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