幸せの欠片
第12章 その先へ
相葉さんの目が真っ直ぐに俺を捉えている
その視線がいたたまれなくて、少し横に目を逸らした
「会うだけでいいって自分に言い聞かせてた俺、バカみたいじゃん」
ふわり、と空気が揺れる
「え…」
「なら、最初からそう誘えば良かった」
相葉さんの表情は、誰がどうみても “嬉しい“ にしか見えないと思う
弧を描く唇が、瞳が
そして相葉さんの纏う雰囲気が
俺をさっきまで縛り付けていた緊張を、あっという間にほぐしてしまった
「いい、の…?」
聞き返す返事の代わり、と謂わんばかりに
相葉さんの唇が優しく俺の唇を軽く塞ぐ
「かずからのお強請りは初めてだ」
そう言って、コツンと額を合わせて笑った
「我が儘言って…ごめん」
「これのどこが我が儘な訳」
再び抱き締められる身体
伝わってくる気持ちが暖かい
どうして相葉さんは
俺が求めている答えばかりを持っているの
泣きたくなるような
ぬくもりを与えてくれるの