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自分であるために

第6章 ベストカップル賞

         ***

 文化祭に着くと学校は既に盛り上がっていた。たくさんのコスプレに創作物に屋台に展示。

「わ~どうしよう! たこ焼きでしょ! から揚げにポップコーン。迷うぅ」

「どれも食べ物じゃん!」

「だってぇ」

「いいよ。それくらいなら全部、半分こしよう!」

「えっ!? ホント~??」

「ホント、ホント」

 文化祭なんて、めんどくさいって過去の俺ならきっと避けていたイベント。だけど、今はこんなにも楽しいと思える。心から笑ったのはいつぶりだろうか。平穏。この平穏な時間が続けばいい。ほんの少しだけそう思った。両手に食べ物を手にはしゃぐ薫。

「4つ目もらいッ!」

「ちょっきょぉぉぉー!!」

 6つ入りのたこ焼きの4つ目。

「ははっ! 隙は見せたら駄目だよ。薫ちゃんっ。なんてうそ、うそ。から揚げ1つ多く食べていいよっ」

「じゃあ許す~」

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