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自分であるために

第8章 アンタがいるから


        ***


 会場に着き、入るとそこで俺たちが浮くことはない。みんな各々に好きな格好を楽しんでいる。本来、ファッションとは、こうあるべき!という決まりがあるのがおかしいのだと思う。女の子は女の子らしく。男の子は男の子らしくなんて誰が決めたルールなんだろう?

 贔屓の作家さんなどはまだいないが、キラキラお砂糖なゆめかわいいアクセサリー。スイーツモチーフのリアルアクセサリー。普段使いもできそうなティストの作家さんもいる。作家さん自身も可愛かったり、かっこよかったり。みんなが個性で、それぞれがキラキラと輝いている。

「わぁ~京、凄いね! 楽しい!!」

「お姉さんもお兄さんも素敵ですね!」

 立ち止まったブースの作家さんに声をかけられる。宇宙モチーフのアクセサリーとゆめかわイラストが混在したキレイ可愛いブースだ。

「ありがとうございます!」

 薫は嬉しそうに答える。俺は頷く。薫は、先程からチラチラと見られている。聞こえてくるのは、可愛いという声。隣にいることをコンプレックスに思ってしまうくらいに可愛くて、美しい。それはきっと日に日に増す薫の堂々とした出で立ちの効果もあってのことだろう。

 薫はそのブースで宇宙のイヤリングを購入した。

「買わないって言ってたのにな」

「だってぇ~運命に出逢っちゃったんだもん!」

 そのあとも買わない……と言ってたわりには、ポストカードやブレスレットなどを買っていた。

 イベント会場を出る頃には、いつの間にか日が傾いていて、イベント終了間近の時刻となっていた。

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