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自分であるために

第3章 俺が出逢ったアタシ

「あなた、大丈夫?」

 俺の上にかけられる黒の皮のジャケット。

「えっ?」

 顔を上げると茶髪で整った顔。パンクロックな服装の男が立っていた。一言で言うとイケメンって言葉は、まさにこの人のために作られたのだと思う。

「こんな時間にこんなところ危ないわよ。アタシが来たからよかったものの。家までって言ったら初対面なのに怪しいから、家の近くまで送るわ」

「……帰りたくない」

 男は溜め息を一つ。

「そう言うと思ったわ。分かったけど、ココは危ないから、アタシについて来てちょうだい」

 頼る相手もいない。初対面だけれど、俺を助けてくれたこの男を信じてみようと思った。

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