自分であるために
第3章 俺が出逢ったアタシ
***
「……ここ、ですか?」
先ほどの言葉を今すぐに撤回したい。信じてみた俺が馬鹿だった。連れて来られたのはピンクのネオンが光るラブホテル。
昔からそうだ。私を見る目はそんなものばかり。だから、体育の授業は大嫌いだった。特に嫌でも体のラインを晒さなければいけないプールの授業は。
「おう、ここ。カラオケとかネットカフェは狭いからくつろげないし、ちゃんとしたホテルは高いし、実家暮らしで、女の子なんて連れてったら父親がヘンな期待するから連れて行けないし……。ってなるとさ、コスパよくて、お風呂も寝床もルームサービスで食事とかもあって、最高じゃぁない? なんて、アタシも一回くらいしか入ったこと無いんだけれどね」
「すみません。それでもやっぱり男性と二人きりでこんなところ……。気遣ってくれてありがとうございます」