
あと3秒だけ。
第8章 ひとつになるとき。
『違う、貴久。でしょ?』
貴久の顔をようやく見ることが出来た。
『俺、結婚してることをきちんと有紗に言ってなかったよね、騙すつもりはなかったんだけど…ごめん。』
『知っていました。』
『え?』
『貴久さんに奥さんがいて、子どもがいること・・・。貴久さんの歓迎会があった日の帰りに、彩から聞いたんです。だから...、私知っていました。』
『あ・・・・・・、俺てっきり、有紗は知らないって思ってた。知ってたんだ。』
私はゆっくりと頷いた。
『知ってた上で、俺の気持ちに応えてくれたの?』
『・・・・・・・・・はいっ。』
貴久は、フッと笑うと
私の頭をクシャッと撫で
『悪い子だね。』
そう言うと私の頬にキスをした。
