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私の思うこと

第24章 それやっといて。

私の旧友に埠頭美和子というアイドルがいる。

彼女は「それやっといて」が口癖で、なんといっても面倒くさがりなのだ。


そんな彼女がようアイドルなんてやっているなと、素直にそう思う。


彼女がアイドルになってからというもの、なんとなく疎遠になってしまった感があったのだけれど、この間久しぶりにメールが来て、休みができたから遊ばないかと誘われた。


私も、断る理由はなかったので、了承した。


カフェで待ち合わせをして、待ち合わせ時間よりも三十分遅れてやってきた彼女は、荷物だけ置いてお手洗いに走って行った。


なんというか、自由だなあ。


と、彼女を埠頭美和子だと気付いたファンが、私にサインを頼んで欲しいと頼んできた。


私は面倒に思いつつも、彼女の意見を聞いてみないことには、となんとなくぼかしつつ、彼女が帰ってきたので、彼女にその話をした。


「美和子、ファンの人がサインしてほしいってさ」


「ふうん、じゃあそれやっといて」


できるわきゃねえだろ。


彼女は人の話を聞かないのだろうか。

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