好きって言わない!
第14章 エスカレート。
ピンポーン。
1度鳴らすと、すぐにおばさんが顔を出した。
「あら!かずくん!」
ニッコリと笑ってくれたおばさんは、すぐに申し訳なさそうな表情になって俺を見る。
「ゴメンね、あの子出掛けてて居ないのよ。」
知ってるよ。
でも、知らなかったフリをした。
N「まーくんの部屋で待ってて良い?」
「もちろん良いけど、何時に帰ってくるか分からないわよ?
お昼は食べたの??」
N「うん、食べた。
お邪魔しまーす♪」
勝手知ったる相葉家。
玄関で靴を脱ぐと、おばさんと喋りながらリビングへ行って、自分でジュースを入れて飲む。
俺の好きなジュースはいつでも冷蔵庫に入ってるんだ。
これは俺だけの特権だもん。
いくら可愛い彼女でも、こんな風にまーくん家で待ってるなんて出来ないだろ。
まーくんと水族館デートの方がよっぽど羨ましいけど、自分が勝てるとこを探して心の安定を保つ。
じゃないとどこまでも落ち込んでしまう。
俺はちっちゃい頃からまーくんの隣にいたんだ。
ぽっと出てきた女の子なんかより、俺の方がまーくんを好きだもん。
しばらくおばさんと談笑して、まーくんの部屋に来た。
誰もいない部屋はシンとして静かだけど、やっぱりまーくんの気配が残るこの空間は落ち着く。
まーくんのベッドに腰をおろして、ぼけっと天井を見つめる。
俺が優位なのは、幼馴染って事だけだよな・・・
まぁ、まーくんのファーストキスはしっかり貰っちゃったけど。
そういえば、翔が言ってた。
ファーストキスの相手は特別だって。
忘れられないって・・・。
この先、誰とキスをしても、俺とのキスは忘れないって事だよな。
それって嬉しいかも・・・。