好きって言わない!
第16章 まーくんと彼女と俺。
急に浮かない表情になったまーくん。
申し訳なさそうに眉を下げて、俺の頭をまたポンポンと撫でる。
A「ごめん・・・実は、
彼女に一緒に帰ろうって言われてて・・・」
N「え・・・・・」
彼女に・・・
そうなんだ・・・
N「そっか、分かった。」
A「ごめんにのちゃん、」
N「良いよ別に!
謝る事じゃないだろ。笑」
無理やり笑ってる顔は、不自然じゃないかな?
声も上擦ってないかな?
急に胸が苦しくなって、バクバク鳴る心臓の音がすごく煩い。
N「じゃあ・・・
1回帰ってからお前ん家行くわ。」
A「うん、待ってる。
アイス買っとくよ!」
N「サンキュー。」
まーくんの顔を見れなくて、まっすぐ前を向いて歩いた。
俺はバカか、一緒に帰れないくらいで泣きそうになるな。
俺を選ぶわけないだろ。
彼女を優先させるのなんて当たり前じゃないか。
A「じゃあまた夜にね!!」
教室の前、笑顔で手を振っているまーくんに、なんとか俺も笑った。
N「・・・・・。」
勘違いしちゃダメだって分かってるだろ。
遊びの延長だって、分かってるだろ。
俺を優しく抱きしめるのも、欲情した目で見つめられるのも。
まるで俺を好きだと言っているような、熱いキスも・・・。
全部、いつかは消えて無くなる幻みたいなものなんだ。
今が奇跡なだけ。
まーくんは彼女を大事にしてる。
浮気なんかしないって宣言するくらいだもん。
N「嫌だな・・・・。」
小さな声で、ポツリと呟く。
俺とのお遊びは、終わりが近づいてるような気がした。