好きって言わない!
第16章 まーくんと彼女と俺。
恋人になった2人を見るのは初めてだった。
まるでドラマの中に出てくる、誰もが羨む美男美女カップルみたい・・・
お似合いすぎてムカつくよ。
早く帰れ。
早くまーくんを返してよ。
バイバイと手を振る2人にホッとしたのも束の間、振り返った彼女がまーくんに駆け寄る。
N「・・・・・なんで。」
まーくんの腕をそっと掴んで、背伸びをした彼女。
ちゅっと可愛いキスをして、イタズラっぽい笑顔でまたバイバイと手を振った。
N「・・・・・。」
真っ赤になってるまーくんも、笑顔でブンブンと大きく手を振っていた。
なんだよ。
なんでだよ。
なんで俺のまーくんにキスなんかするんだよ!!
・・・・・。
いや、違うじゃん・・・
まーくんは俺のものじゃない・・・
あの子のものなんだ。
こみ上げてくる涙が、零れないうちに走った。
もう参考書もアイスも要らない。
まーくんも要らない。
嘘。
めちゃくちゃ欲しい。
でも手に入らない。
ポケットの中のスマホが震えた。
N「・・・・・。」
“ にのちゃんの好きなチョコアイス買ったよ♡
早く一緒に食べたーい!!”
N「・・・バカ。」
大好きなのに。
まーくんも俺を大好きなのに。
好きの種類が違うだけで、なんでこんなにツライの?
今日はもうまーくんに会いたくないと思ってたのに。
チョコアイス、一緒に食べたいよ。
泣き腫らした目で会うわけにはいかないから・・・
何度も深呼吸をして、溢れそうになる涙を必死に我慢した。