好きって言わない!
第19章 デート。
電車に揺られながら、チラチラとまーくんを盗み見る。
なんか、今日はいつもよりカッコ良い・・・
そっか、ヘアセットしてるんだ。
前髪を上げて、サイドに流していて超大人っぽい。
背が高くてスタイルの良いまーくんは、私服だと年上に見られる事が多い。
ヘアセットまでしたら、隣にいる俺がますます子供っぽくなっちゃうじゃん・・・
良いなぁ、大人っぽくて。
何で俺って童顔なんだろ。
俺もヘアセットしてみよっかなぁ。
A「なに?」
いつの間にかガン見してしまっていたらしい。
ニコッと笑った顔が、やっぱりいつもより大人っぽくてドキドキしてしまう。
N「別に。」
A「なんだよ〜、超見てたじゃん!
まさか今になって魚がイヤだとか言うんじゃないだろーな?!」
N「言わないよ。別に魚なんて平気だし。」
ウソ。
魚は見るのも食べるのも苦手だ。
はっきり言って嫌い。
まーくんもそれを知ってるから、俺が水族館を選んだ事にかなり驚いていた。
だって・・・
彼女と行ったんだろ。
まーくんすげー楽しそうに喋ってたじゃん。
俺も行きたいもん。
彼女と同じようしたいなんて、
子どもっぽいって分かってるけど・・・
N「でっかいサメ見たい。」
A「くふふ♡良いね!サメと写真撮ろう!」
今日はデートだもん。
久しぶりに2人っきりだもん。
ちょっとくらい、くっ付いたって良いよね?
A「あ、にのちゃんココで降りるよ!」
電車を降りるまーくんの手をそっと取った。
きゅっと握ると、まーくんが驚いて振り返る。
A「・・・行くよ!」
俺の手を握り返して、早歩きで少し先を歩くまーくん。
男同士で手を繋いでるなんて、まわりに変な目で見られるかな・・・
「ねぇ、ちょっと!切符落としたよ!」
N「えっ、」
後ろから、人の良さそうなおばさんに声をかけられた。
切符??