好きって言わない!
第19章 デート。
好きだなぁ・・・
どうすればいいのか、分かんないよ。
感情のコントロールって難しいね。
電車の中の今でさえ、キスしたいって思ってるもん。
自分でも呆れる。
ふと窓を見ると、またどんよりとした雲が広がっていた。
夢の時間が終わってしまう事を悲しんでるのが、空にも伝わってしまっているみたいだ。
楽しかった。
いっぱいくっ付いていられた。
それで満足しなきゃダメなんだよ。
電車を降りて、見慣れた駅のホームを見るとついにデートが終わってしまった気になった。
繋いでいた手も、どちらからともなく離す。
A「・・・ウチ寄る?」
N「え?」
当たり前に、まーくん家に行くつもりだった。
最近はちょっと理由つけて家に行ってなかったけど、今までずっとまーくん家に入り浸ってる事が多かったし・・・
何で、わざわざ確認するんだろう。
A「おいでよ。」
N「うん・・・」
変なの。
かしこまっちゃって。
A「・・・なんか天気あやしいなぁ。」
さっき電車で見た時より、暗い空。
確かに今にも降り出しそうだ。
まぁ、あと数分で家に着くし、傘も持ってるし・・・
N「・・・おい、傘は?」
A「あれ?!」
今朝持っていたハズの傘が無い。
そういえば、かなり早い段階でまーくん手ぶらだった気が・・・
A「売店のとこに忘れてきたのかも・・・!!」
N「バカ。」
A「にのちゃんだって気付いてなかったじゃん!」
N「持ってた奴の責任だ。」
A「ひっど!だいたいにのちゃんの唇がエロいから忘れちゃったんじゃん!」
N「は?」
A「・・・なんでもない!!」
どういう意味だ、と問いただそうとした時。
ポツリと雫が落ちてきた。
N「・・・ヤバイ。」
A「え、」
ポツポツと降り出したかと思えば、ザァーーーーっと一気に大粒の雨が降ってきた。