好きって言わない!
第26章 Painful love。
A side
A「・・・学祭終わったら、遊園地行こっか。」
「ホント?行きたい♡」
A「動物園も。水族館もまた行こう。」
にのと行こうって言ってたとこ全部。
「嬉しい・・・楽しみだね?」
A「うん、楽しみ。」
蓋をして、鍵を掛けて。
心の奥底にしまうんだ。
にのへの想い全部詰め込んで。
「湿布、貼ってあげるね。」
A「その前に・・・」
キスさせて。
彼女の柔らかくて細い腰を引き寄せて、唇を塞いだ。
・・・・・・・・。
もしかして、今頃にのと翔ちゃんもキスしてたりして・・・
・・・イヤだ!!
「・・・雅紀くん?」
A「・・・何でもないよ。」
ダメだ。
にのが俺以外の男に触られるのを想像しただけで、怒りでどうにかなってしまいそう。
「雅紀くんからキスしてくれたの初めてだよ?」
A「え?」
そうだっけ・・・
「ふふっ、嬉しい・・・♡」
きゅっと抱き付いてくる彼女を抱きしめ返しながら、俺の心はどんどん沈んで行く感じがした。
抱きしめる感触がにのと違う。
唇の柔らかさも、声も、体温も。
にのじゃない。
A「・・・帰ろっか。」
「うん♡」
俺の手を握ってご機嫌に歩く彼女。
・・・手はちょっと似てる。
なんて。
いちいち比べるなよ。
気持ち悪いぞ俺。
外は綺麗な夕空。
夕焼けって、センチメンタルになっちゃうみたいだ。
ねぇにのちゃん、
恋って楽しい事ばっかだと思ってたよ。
ホントの恋って切ないんだね。