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好きって言わない!

第26章 Painful love。





A side





ぎゅっと翔ちゃんに抱きついたにのを見て、目眩すら感じた。
王子様とお姫様・・・。
にのには、翔ちゃんみたいにカッコ良い王子様のが似合うね。




あーあ・・・
なんかもう・・・




俺ってやっぱすっげぇバカなんだな。




前にもちょっと思った。
にのを好きになっちゃったんじゃないかなって。




でもその時は深く考えるのをやめた。
にのに、ただキモチイイからしてるだけだよって言われて・・・
その時少し傷付いたんだよ。




俺は怖いんだ。
にのを好きになるのが・・・




出来るなら、このままずっと気持ちを誤魔化したままでいたい。
だって、ツライじゃん。
親友を好きになるなんて。




にのだけは失いたくない。
離れてほしくない。
ずっと一緒にいたいんだ。




A「だから・・・やめてよ。」




にのを好きにならないから。
これからもずっと誤魔化していくから。





翔ちゃんだけは選ばないでよ。





2人の後ろ姿が見えなくなった。
追いかけたい衝動に駆られたけど、なんとか我慢する。





A「やべ・・・なんか泣きそ。」




「・・・なんで?」





いつの間にか保健室から帰ってきた彼女が心配そうに俺を覗き込む。




手には湿布を2枚持っていた。
ぶつけたっていっても大した事じゃないのに・・・
2枚もいらないよ?




本気で俺を心配してくれる彼女に胸が締め付けられた。




A「・・・ありがと。ゴメンね?」



「元気ないね。」



A「そんな事ないよ・・・
放課後の教室に一人ぼっちで、ちょっと寂しかったけど。笑」



「・・・なにそれ。笑」



A「子どもみたいで可愛いだろ?」





ふふっと笑った彼女を抱きしめた。
ごめん。
今はまだ1番好きとは言えないかもしれないけど・・・




ちゃんと好きになる。



ちゃんと恋人になろう。








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