好きって言わない!
第27章 ラブストーリーは突然に。
学祭の日がやってきた。
曇り予報をはねのけ、からっと晴れた空がキラキラ眩しい。
らしい。
俺は人生初の女装の為朝から教室に引きこもっていた。
教室に作られたカーテンの個室。
メイクをされウィッグをつけられ、気合いたっぷりの手作り衣装に着替えさせられる。
「二宮くん可愛すぎ!!
絶対優勝獲れるよ〜♡
なんてったって王子は櫻井くんだし♡」
N「そりゃどーも・・・」
「ニッコリ笑って!!
コンセプトは妹系プリンセスなんだから、ぶりぶりに可愛くね?」
無茶言うな。
ぶりぶりってなんだよウンコか。
女子に下手に反論すると倍返しで返ってくるのは学習済みなので、黙って頷いた。
その時、教室の入り口の方で黄色い歓声があがる。
翔も用意できたのかな??
A「失礼しまーす・・・
あ。にのちゃん!!」
N「・・・・・・・・。」
カーテンを遠慮がちに開けたまーくんが、ニッコリ笑う。
A「可愛い・・・ホントにお姫様だ。」
N「・・・・・・・・。」
A「にの??」
N「え、あ、うん・・・今、支度が終わって・・・」
思わず目をそらしてしまう。
だってまともに見れないよ。
A「どうしたの??」
チラリとまーくんに視線を戻す。
アラジンの衣装を着たまーくん。
大きな白い帽子に、白いマントがホントに王子様みたい・・・
N「超カッコ良い・・・」
A「へ?!」
N「っ!!」
ヤバイ!!慌てて口を塞いだ。
A「・・・カッコ良い??」
嬉しそうに笑う顔が、もうたまらなく好きな表情。
胸キュンだよ!
カッコ良いもん!
好きなんだもん!!
A「にのも可愛いよ・・・俺の言った通り。
にのの白雪姫が1番可愛い。」
N「・・・そう、かな?」
恥ずかしくってスカートをぎゅっと握りしめる。
俯くとウィッグが頬にかかって邪魔だ。
てか、唇に塗ったグロスにウィッグがくっつく・・・
ふ、と微笑んだまーくんが俺の頬に手を伸ばす。
唇についたウィッグの髪を取る時に、ふいに触れた指にドキッとしてしまった。