好きって言わない!
第27章 ラブストーリーは突然に。
A side
「熱は、思ったより無いわね。」
保健室の先生の言葉にホッとする。
ベッドで眠るにのちゃんは、さっきよりも顔色が良くなって規則正しい寝息をたてていた。
「あんたが救急車ーって言いながら飛び込んで来た時はビックリしたけど。笑
二宮くんも体火照ってたし呼吸も荒くてグッタリしてたから何事かと思ったわよ。」
A「ははは・・・すみません・・・。」
笑いながらベッドを整える先生をまともに見れなかった。
元々熱があったとしても、体を火照らせてしまったのは俺だ。
「体操服は砂まみれだし、一体何してたのよ。」
押し倒してましたなんて言えない・・・
「ま、とりあえず少し休ませとくから。
あんたはもう戻りなさい。」
A「・・・はい。」
保健室のドアを閉めて、大きなため息をついた。
そのままズルズルとへたり込む。
にのが好き。
A「どーすんだ俺・・・」
このまま普通に友達をやっていける自信がない。
少しでもにのが隙を見せたら、また襲っちゃうかも・・・
ポケットの中でスマホが鳴っている。
きっと彼女からだ。
今日一緒に帰ろうって話かな。
A「・・・・・。」
マジでどーすんだよ、俺・・・。
学祭終わったら、彼女と遊園地行くんだろ。
動物園も、水族館も。
俺が思い描いてた青春じゃん。
可愛い彼女とデートして、キスして、エッチして。
絶対そっちだよ。
彼女と続いた方が良いに決まってる。
だってそれが普通だもん。
それで、にのとは親友でいるんだ。
A「・・・・・。」
出来るのかな、親友。
好きなのに?
鳴り続けているスマホをようやく手に取った。
ディスプレイには、やっぱり彼女の名前が表示されていた。
A「・・・もしもし。」
明るく可愛い彼女の声に、なんだか胸が締め付けられる。
A「うん、良いよ。
終わったらクラスまで迎えに行く。
・・・分かった、じゃあまた後で。」
通話を切って、ぼんやりと天井を仰いだ。
にの。
これで良いんだよね。
俺はやっぱり・・・・・。