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好きって言わない!

第29章 unsuitable。




S side




お前が雅紀の話するの、なんか嫌なんだけど!!




M「・・・なんだよ。」




じとっと潤を見ていると、負けじと睨み返してくる。




S「そのイルカ、俺が返しとく。渡せ。」




M「は?何で?」




S「良いから。」




差し出した俺の手をチラリと見てから、怪訝な顔をする。




M「俺同じクラスだぞ。
明日の朝すぐに会うし・・・お前に渡す意味が分かんねぇ。」




確かに。
でも、そのイルカがホントに雅紀の大事にしてたものなら・・・
雅紀の事だ。
抱き付いて全身でお礼を言いそうじゃないか。




俺以外の男に抱き締められるなんて許し難い。




S「良いから渡せって!」




M「何ムキになってんだよ!
わ、ちょっと・・・っ!!」




無理やり奪い取ろうと手を伸ばすと、手を引いて俺から距離を取る。
その瞬間、はずみでイルカから手を離してしまった潤。




M「ああっ!!」




換気のために開けていた窓を目掛けて飛んでいくイルカ。
太陽の光にキラッと輝きながら落ちていく。




M「ヤバっ・・・!!」




慌てて窓に駆け寄るも、イルカは外へ・・・
ここは4階だ。
真下は植え込みになっているし、肉眼じゃもう見えないだろう。




S「・・・・・。」




ヤベー・・・。




M「・・・探すの付き合ってもらうからな。」




ジロリと怖い顔の潤は恐ろしいほど低い声で。




S「・・・はい。すみません。」




俺、何でこいつを怒らせてばっかなんだろ・・・
今日だけで一体何回睨まれたんだ?




俺に笑いかけてくれる事なんて、この先も無いんだろうな。




まぁ、こいつで楽しく遊べたらそれで良いんだけど・・・
でも何でだろうな。
なんだかまた心がモヤモヤする気がして・・・




無性に潤の淹れた紅茶が飲みたくなった。








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