好きって言わない!
第31章 selfish。
S side
今日は随分頭が冴えている。
問題文を読んでいる途中からすでに答えを解きはじめて、解き終わる頃には次の問題文へと意識がうつる。
サラサラとノートが埋まって行くのは気持ちが良いものだ。
でも、そろそろかな。
ピタッとシャーペンを止めたところで、セットしていたタイマーが鳴った。
俺は集中型のタイプだ。
一気に集中して勉強をして、しっかり休む。
休憩時間は勉強の事は忘れて頭を休めるのが大事なんだ。
まぁ、今日はそうもいかないようだけど・・・
くるっとイスを回転させて後ろで退屈している奴に声を掛ける。
S「よし、10分話を聞いてやる。」
N「10分?!」
ブーコと遊んでいたニノが、不満いっぱいの声をあげた。
S「貴重な休憩時間を割いてやるんだぞ、文句言うな。」
N「冷たい奴だな。」
S「なんとでも。」
今日はしっかり勉強をしたいんだと言ったのに、無理やり押し掛けてきたのはニノだ。
N「なぁ、ブーコ引き取ったの?」
ブーコの腹の肉をびよーんと引っ張りながら、のほほんと喋るニノ。
10分しか無い会話時間をそんな質問に使うのか。
それとも長話に持ち込むための作戦か・・・
ニノなら後者かもな。
N「おい、聞いてんのか。」
長話するつもりは無い。
この後あいつも来るんだから、早く勉強を終わらせたいんだ。
S「まさか。俺ネコ嫌いだもん。」
N「そんなハッキリ言われたら傷付くよなぁブーコぉ。」
よちよちとブーコを赤ちゃんのようにあやす。
随分ニノにも懐いたなぁ。