好きって言わない!
第32章 青春アクセル。
S side
「松本様はお優しいですね。
お気遣いありがとうございます。
ですが、我々の分はお気になさらず・・・
お気持ちだけで十分でございます。」
にっこり笑って深々と頭を下げた使用人を見て、頬を染める潤。
・・・まさか好みのタイプとかじゃないよな。
確かに俺が昔惚れた女だけあって美人だが。
M「あの、ミーコは・・・」
「ふふ、実はキャリーの中でお昼寝してるんです。」
M「キャリーで?」
「ええ、やっぱり慣れたニオイが落ち着くんでしょうね。
ここへ来てからもリラックスして過ごしていましたが、眠る時は必ず松本様がお持ちになったキャリーに入っていました。」
M「そうなんだ・・・」
「可愛いですね、ミーコちゃん。」
M「ありがとうございます。
帰りたくないって反応をされたらどうしようって思ってたんですけど・・・」
「まさか!きっと自分のお家に帰るのを楽しみにしてますよ。」
M「ふふ、そうかな。」
S「・・・・・。」
にこやかに会話をする2人。
コラコラ、お前の好きな人は俺だろうが。
S「潤、」
キャリーを覗こうとしていた潤の腕を引っ張った。
振り向いた潤の大きな瞳が俺を見つめる。
M「・・・なんだ。」
不機嫌そうな声に、そそられる。
キスしてぇかも。
「お茶をご用意して参りますね。」
頭を下げて部屋をあとにした使用人。
さすが、出来る女だ。
M「俺はすぐに帰るぞ。
遅くなるとミーコが腹減るし。」
S「ウチで食べて帰れば良いだろう。」
M「嫌だ。何でお前と、」
会話の途中に悪いけど。
ちょっと我慢できないわ。