
好きって言わない!
第32章 青春アクセル。
S side
初夏を感じさせる爽やかな朝、
いつもより少し早く目が覚めて、いつもより少し時間をかけて朝食を摂る。
なぜって??
頬がパンパンに腫れて痛ぇからだ。
「お茶のおかわりを。」
長年櫻井家に仕えている初老の使用人が、少し気まずそうに頭を下げる。
S「要らない。」
こいつだけでは無い。
使用人が皆、朝から俺の頬を見ないように俯いて話すのが気に入らない。
つっこめよ。
すごい腫れてますけどって言えよ。
「すごく腫れてらっしゃいますね。
親不知を抜いた時を思い出します。」
S「なんだとコラ!!」
にっこり笑いながら、さっき要らないと言ったお茶のおかわりをカップに注ぐのは、ブーコの世話の責任者。
潤が帰った後、俺の頬を手当してくれた彼女は特に何も聞いては来なかったけど・・・
潤とのやり取りは聞かれてただろうか。
「松本様がお忘れになったミーコちゃんへのプレゼントですが、
今日学校へ持って行かれますか?
少し大きな荷物になりますので、学校ではなく自宅へ届けた方がよろしいかもしれませんが。」
S「・・・。」
潤の家に・・・
そうだな、昨日の無礼極まりない態度を叱ってやらないと。
S「じゃあ俺が今日届け、」
「差し出がましいとは重々承知しておりますが・・・」
S「なんだ?」
「松本様にかなり嫌われてらっしゃるようですので、郵送の手配を致しましょうか??」
S「ぶっ・・・うっ痛ぇ・・・!!」
派手に吹き出してしまって頬がジンジンと痛む。
