好きって言わない!
第9章 水と油と翔と潤と猫。
S side
「ねぇ、勉強終わったの?」
S「・・・・・。」
今日の分の課題が終わり、参考書をパラパラと捲りながらのんびり紅茶を飲んでいた。
勉強が終わったのかという質問に対しての答えは、イエスなんだが。
S「もうちょっとかな、ゴメンね?」
ニッコリと笑いかけると、口を尖らせながらも頬を染める可愛い子。
俺の部屋に来るのはまだ2回目だから、少し緊張してるのがまた可愛らしい。
でも、今日はデートの気分じゃ無かったな。
俺は今あまり機嫌が良くない。
高校に入学してから、すぐに面白い奴を見つけた。
クラスの中で俺の次に成績が良いのは誰なのか確認したら、そいつは小柄で色白で、顔だけ見れば女の子かと思うくらい中性的な雰囲気の奴だった。
おとなしい性格なのかいつも1人で地味。
目にかかりそうな長めの前髪と無表情が、余計に暗い印象だった。
でも、副委員をさせるならあれくらいの奴が良い。
あまり主張するタイプだと面倒だ。
そう思って少し声を掛けてみれば、印象がだいぶ違ったわけだけど・・・俺はさらに気に入った。
おとなしい暗い奴かと思っていたが、むしろ気の強そうな受け答え。
しかも口が悪い。
でも会話をしていれば分かる。
やっぱりこいつは頭が良い。
頭の回転が早いんだろう、テンポ良く進む会話が楽しいと思った。
さらに。
こいつの友達だという背の高いイケメン。
これがまた面白い奴だった。