
昭和回想録
第1章 少女・優子
賑やかな運動会の歓声をあとに
ボロアパートへ向かって一人歩き出す。
歩きながら考える。
優子とセックスしている時の
高揚された気分と
今の俺の気持ちは対極にある。
優子とはセックスできる仲にはなった。
だが、いまだにプー太郎だ。
ずっと就職活動をしているが
俺みたいなやつに求人のくる業種はない。
このままでいいのか?
いいわけがない。
だから就職活動をしているんだ。
でも仕事がないんだ。
結論のでない自問自答が頭の中で何度も続く。
我ながら自分自身にイラダツ。
なんとかしなければ・・・。
何度も自分に問いかけながら歩いていると
いつしか見覚えのある古本屋にたどり着いてた。
俺がたまにエロ本を買っている店だ。
この店は常連客になると、ビニール本(裏
本)をこっそり売ってくれたりする。
ありがたい店だ。
でも最近の俺は収入もなくプー太郎生活。
この店もご無沙汰だった。
しばらくぶりに冷やかしにでも入ろうとし
たとき入り口の張り紙が目に入った。
○急募!アルバイト求む。○
無職の俺には気になる内容だ。
時給600円
わずかでも収入があればましだ。
今よりもいい生活、
そして優子とのデート代も稼げそうだ。
この店は70代くらいの老夫婦が経営している。
住居が別の店舗のみの建て屋だ。
早速、店に入るといつものおばちゃんがいた。
アルバイトの話を聞くと、おじちゃんが今
度入院するらしい。
そして、おばちゃんが昼間の間、おじちゃ
んの看護に行くのだが
その間の店番をしてほしいとのことだ。
無職で仕事の見つからない俺にとっては
貴重な収入源になるこのバイトを
やらせてほしいと、おばちゃんに申し出た。
おばちゃんも、見慣れた客の俺が店番のバ
イトをしてくれるということで喜んでくれた。
そして早速、明日からのバイトが決まった。
