
昭和回想録
第1章 少女・優子
この日は何時もと違って、しばらく客がこなかった。
あらかた仕事を済ませていた俺は退屈にな
っていたが午後3時過ぎに今日初めての客がきた。
それは、セーラー服を着た中学生だった。
初めて見る中学生。
髪の毛は後ろにマトメて背中まで伸びている。
眼鏡をかけてい落ち着きのある丸顔には真
面目さを漂わす。
スカートは膝くらいまでありミニスカート
とはいえない。全体を見ても優等生。
真面目さしか出てこないだろうと思えるほ
どの容姿だった。
でも俺はそんな姿にチョット、ドキッとす
るものがある。
俺の好きな少女。
しかも制服。
すぐ目の前を通り過ぎた時の甘い香り。
俺はたまらず勃起してしまった。
だが、理性で感情を抑えて女の子の行方を
見守った。
おおよそ文庫本かコミックでも立ち読みに
でもきたのだろう。
が、次の瞬間、俺は目を疑った。
中学生がたたずんでいる場所。
それはアダルト・コーナーだった。
この古本屋は道路と平行に横に広くなっている店だ。
入口は向かって右側にある。
入口を入るとすぐ右側にレジがあって俺は
そこで会計をしている。
本は中央に二つの棚と壁の周りに並ぶ棚がある。
アダルト・コーナーはレジの置いてあるす
ぐ右手にある。
万引き防止も兼ねて目の届く場所に設置してるのだ。
俺が右を向けばすぐに状況の確認できるア
ダルト・コーナー。
そこには今、その場所にはそぐわない人物
、セーラー服を着た中学生が立っていた。
しかも可憐なという言葉が似合いそうなく
らいの清楚なたたずまいの女の子。
本来は注意すべきなのだろうが、この異質
な状況下ではこの後の行動を見守るしかな
かった。
というよりも、次の行動がどうなるのかが
気になっていた。
中学生の女の子は、棚の高いところにある
ビデオを見まわしてその下にあるアダルト
写真集やアダルト・コミックをみつけ手にとる。
時折気にしながら俺のほうをチラチラと見る。
自分でしていることが、いけないことだと
わかっているようだ。
写真集はビニールの袋に入っているから
表紙の裏表しか見えない。
コミックや情報誌は袋に入れないでおいてある。
ある意味、自由に立ち読みできるような状
態なのだ。
