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昭和回想録

第2章 少女・美幸






俺は美幸に聞いた。

何故、万引きをしたのか。

今なら正直に言えるだろう。

でも美幸は


    「理由は特に無いんです・・・。」


意外な答えだ。

理由も無い犯罪なんて。

しかも


    「私を・・・エッチな本を見ている

     私を見てほしかった・・。

     エッチな女の子だと感じてほしかったん です。

     そう思うだけで私・・・感じちゃうんです・・・。」


泣きそうな顔の美幸の自らの告白。

自分を被虐性愛、マゾヒストを自覚する。

そんなことを男に言えば、ヒクものもいれば

それに付け上がり性奴として扱うものもいるだろう。

だが美幸の気持ちは少し違っていた。


    「私のエッチな姿を見て興奮してほしかったんです。

     そして・・・襲ってほしかったんです・・・。

     気づいてほしくって本をつい・・・。
     
     お兄さんに気付いてほしかったんです」


なんという思い。

幼い少女のレイプ願望。

ここまでかり立てたものはいったい・・・。


    「私・・・いつも学校帰りに見てたんです。

     お兄さんがお店にいるところを・・・。

     お兄さんに教えてもらえればと・・・。」

    「それでどうすればきっかけができるか考えて

     あんなふうに・・・してみたんです・・・。」


なんということだ。

俺は中学生の少女の策に、まんまとはまってしまったのだ。

しかも俺をサディストにまでかえてしまうほどに。

感情に流されてしまった俺に罪悪感の思いが。

だが美幸の言葉に救われた。


    「思っていた通り・・・お兄さんでよかった。

     お兄さん・・・・だいすき。」


そういってキスをしてギュッ と抱きしめてくれた。

そこまで俺を・・・。

救われた思いがした。

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