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第20章 まんてん
咄嗟にこちらを振り返ったおーちゃんと
踊り場に倒れこんだ俺たち。
あーあ、なんて漫画的展開……。
A「お、おーちゃん!
今誰かと話してなかった?!」
O「い、いや、別に…」
なんとなく後ろを隠すようなおーちゃんの姿。
N「…ん?」
どこからかか細い鳴き声。
ミーミー、ミャーぉ。
A「…猫?」
O「あーぁ…。」
ポリポリと頭を掻きながら、
隠していた後ろの机の下に手を突っ込むと
その声の主が姿を現した。
A「えええ♡三毛猫ー!! 」
O「可愛いだろ。」
N「…なんでこんなとこに猫?? 」
O「この前、コイツ、カラスに襲われて
屋上に連れてこられてたんだよ。」
聞けば、おーちゃんは1週間ほど前に
美術部の顧問に許可をもらって屋上で
絵を描いていたそうだ。
急にカラスがなんかをくわえて
飛んできたと思ったら、
それがこの子猫だったらしい。
慌ててカラスを追い払ったけれど、
自分のうちには連れて帰れないし、
困ってこの机のバリケード内に
一時的な借り住まいを作って匿った、
というのが今回のいきさつのようだった。
A「でもずっとここで、ってわけにも
いかないんじゃないの? 土日とかは?」
O「それが、ここに匿ってすぐ、
コイツの存在が村上先生にバレちゃってさ。」
N「え?!それヤバイんじゃないの?」
O「それがね、最初は怒られたんだけど、
ちゃんと話したら、飼ってくれる人がいないか
知り合いに聞いてみるって言ってくれたの。
あとエサとかも先生がやるから
安心しろって言ってくれて。」
A「へー!よかったね!
んで飼ってくれる人はみつかったの? 」
O「うん。村上先生の友達のオネエさんに
こいつの写真見せたら一発だったみたい。」
N「よかったな〜、お前。 」
首元を撫でてやるとゴロゴロと気持ちよさそう。
O「それで今週末に先生が連れて行くまでは、
と思ってちょいちょい見に来てたんだよ。」
A「なーんだ、彼女じゃなかったのかー。 」
N「ほらみろ。」
O「?」
