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第27章 しんしん
N「じゃあさ、今の夢は?」
S「今かぁ・・・ 何?これ進路相談?」
N「ん、まぁそんなとこ。」
まーくんを見てるとたまに思うんだ。
この先のこと。
N「…まーくんはさ、バスケ始めた頃から
プロのバスケット選手になるのが
夢なんだって。・・・今も。」
S「へー。」
N「・・・。」
S「で?」
小さい頃の夢って、
大半の大人が成長の過程で諦めたり、
無理だと悟ったり、叶えられそうな夢に
軌道修正しながら大きくなるじゃない。
それが、まーくんにはないんだよ。
N「目標があって、才能があって、
その上努力もして。まーくんを見てるとさ、
俺には何があるんだろうって不安になる。」
すごいなって思う事ばかりで、
真っ直ぐに生きているまーくんを
たまに見ていられなくなるんだ。
S「ふーん・・・、
学年一位の二宮くんがまさか
そんなことで悩んでたとは。」
N「そんなこと?」
S「いや、お前ほど頭のいい人間が、
進路で悩むなんて意外だなと思って。」
N「まぁ、進路というか・・・。」
俺にもこの先、夢中になれるものがあるのかなって
S「学力もあるし、お前んちの父さん、
確か製薬会社のお偉いさんだろ?
とりあえず大学はよりどりみどりじゃん、
私立も国立も。」
N「そうかもしんないけど・・・。」
S「やりたいことが決まってるやつだけが
偉いわけじゃないと思うよ、俺は。
お前は自分のこと過小評価しすぎなんだよ。
雅紀とは違うお前のいいとこ、
いっぱいあると思うぞ?」
N「・・・。」
S「それにさ、やりたいことを探すために
とりあえず大学出るやつとか、
それこそ目標も夢もないことに疑問すら
持たないやつだって沢山いるんだぜ?」
N「・・・うん。」
S「だからさ、お前はお前のペースでいいのよ。
なんでもかんでも雅紀と同じじゃなくて!」
