テキストサイズ

more & more

第27章 しんしん







シーソーゲームで迎えた最終クォーター。

現在4点差で相手チームに負けている。






あと2本…!




そう思っているのに取っては取られ、

取られては取り返し、

なかなか4点の差が埋まらない。










ピピーーーーッ!!





N「まーくんっ…!!」





やきもきする試合展開を打破するかのように

相手ボールをカットしたまーくんが

速攻を仕掛けた時だった。




シュートフォームに入った瞬間、

追いついた相手選手が体当たりを仕掛け、

モロに空中でそれをくらったまーくんは

ドンっ!て音とともに吹っ飛んだ。





審判の笛が鳴るとチームメイトが

まーくんの側へと駆け寄る。







幸い頭は打ってないようだが

吹っ飛んだ際についた右腕をさすりながら

顔をしかめているのが

ギャラリーからでもわかる。



S「相手のやつ、今のはねーだろ。」




監督とまーくんが何か話している。

まーくんは監督にコクンと頷き、

いけます、とでも言うように左手を上げると

勢いよく立ち上がってグルグルと肩を回した。






審判は立ち上がったまーくんを確認してから

相手の選手にファウルを告げ、

まーくんはフリースローを与えられた。




一本目のフリースロー。

ボールの感触を確かめるかのように

ドリブルをしながら

フリースローラインに向かうまーくん。




スゥッと息を吸い込むと、

流れるような動作でシュートが放たれた。





ピッと指先から放物線を描くボールは

そのままシュパッという音を立てて

ゴールに吸い込まれた。




ワァっ、と盛り上がるギャラリー。

ベンチでもハイタッチしてるのが見えた。



これで3点差…!






再びフリースローラインで構えるまーくん。

2本目のフリースローを放った瞬間に

動き出す両チーム。

ガコンっと音がしてボールがリングから跳ねた。




あぁっ、と落胆の声があがるベンチとギャラリー。

跳ねたボールをリバウンドした選手が走り出し

またも試合が再開された。




2本目のシュートを放った時、

一瞬、まーくんの顔が辛そうに歪んだが

次の瞬間にはまーくんもボールに向かって

走り出していた。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ