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第27章 しんしん
N「あー…父さんが家族旅行でも
しようかって言ってたかな。」
S「へー…どこ行くの? 」
N「ニューヨーク。 」
S「へえぇ…、ってマジかよ!」
N「俺はばあちゃんちでこたつでみかんで
紅白っていうのが理想の正月なんだけど。 」
父さんも母さんもたまの長期休みだからって
張り切って前々からたのしみにしてたから
しょうがなくのってあげたけど。
S「すげー、タイムズスクエアの
カウントダウンとかみてみてー! 」
N「それ、すごい人なんでしょ?しかも
めっちゃ寒いらしいじゃん。
俺寒いのも人混みも嫌いだもん。」
S「なに言ってんだ、贅沢者。
せっかくだからみてこいよ、色々。」
バシバシと俺の肩を叩く翔ちゃんは、
キラキラとした表情で
ニューヨークへ思いを馳せている。
N「…5日もまーくんに会えない。」
ボソッと言ったはずの言葉を
しっかり聞き取った翔ちゃんは
ニヤーと笑ってから俺の頭を
ぐしゃぐしゃと搔き撫でた。
S「可愛いな、お前♡ 」
N「うるさいっ」
パシッとその手を振り払ったけど
耳まで赤くなったのが自分でもわかった。
