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第27章 しんしん
N「・・・ほんとに甘えたいのは
まーくんの方でしょ?」
A「え? 」
N「…ほら。」
まーくんの腰に抱きついていた体を離し、
両手をいっぱいに広げる。
N「平気なフリすんなよ。俺の前でまで。」
さっきは悔しくないのかよ、とも思ったけど。
今わかったよ。
悔しくないわけないじゃんって。
まーくんがどんだけ
この大会に向けて努力してきたか、
俺は知ってるもん。
N「泣きたいなら、泣けばいいよ。」
ん、と広げた両手で、
少し高いところにあるまーくんの頭を包み込む。
一瞬固まったまーくんだったけど、
観念したように俺の肩に顔を埋めて
腰に手を回した。
A「なんだよー…もう…
超かっこ悪りぃじゃん、俺…。」
ジワリと暖かく濡れる肩。
かっこ悪くなんてないよ。
最後まで必死で勝とうとしてたまーくん、
超カッコよかったよ。
勝ちたかったよね。
悔しかったよね。
また頑張ろうね。
*------
どのくらいそうしていたのかな。
グス、グスッと声を殺して泣くまーくんの背中を
トントンとあやすようにしてやると
暫くして、ふふ、と笑って顔をあげた。
A「・・・ありがと。充電完了した♡ 」
真っ赤な目元で笑うまーくんに
なんだか急に自分の行動が恥ずかしくなり、
照れる。
N「…っ//・・・そういや腕は?大丈夫なの?」
A「あー、ちょっと痛いけど・・
折れても伸びてもないし、すぐ治ると思う。」
N「無理しないでよ?」
A「んふふ♡ありがと♡ 」
そっか、大事に至らなくてよかった。
ふふふ、とふたりで微笑み合った。
