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第2章 始まりの朝には




N side


「相葉さ…雅紀。」


俺ってさ、欲張りだよね。きっと。

この狭い部屋、この近い距離に
居られるだけで良いって思ってたはずなのに、
一緒にいると欲が出てきて、
もっと同じ時間を共有したいと思う。


おはようって朝の少し掠れた声で挨拶して、
今日も可愛いねってハグしてキスをして、
今日の予定を話しながら朝ご飯にしようよ。

相葉さんが起きてくれないと、
俺の1日は始まらないから。




盛大なひとりごとを漏らしても
まだ気持ち良さそうに眠る相葉さんに
思わずため息が出た。


「もう…普通は王子様がキスして
 起こすもんでしょうよ。」


半開きになってる唇に、そっと触れる。

温かさがふんわり伝わってくるような
優しいキスをひとつ、ふたつと落とす。


よっつめのキスを終えたとき、
相葉さんの瞳がゆっくりと開いた。

ピントが合っていなかった瞳が、
ようやく俺だけを見定めた頃


「ふふ…お姫様にキスで起こして
 もらっちゃったぁ…。」

って、蕩けた顔をしてる相葉さん。


「もらっちゃったぁ、じゃないよ。」


呆れたようにため息をつくけど、
俺の照れ隠しって分かってる相葉さんは
笑ってるまま。


「おはよ、和。今日も可愛いね。」


起き上がった相葉さんに優しく抱きしめられた
かと思うと、甘いキスが降ってくる。

王子様からの優しいキス。
触れるだけのキスなのに、幸せな気持ちになる。

夜はもっと大人で自己本位なキスなのに。
そのギャップはずるいでしょ。


「ほら、さっさと布団畳も。
 片付けてテーブル置いてご飯にしよ。」
「うん!」


さっきまでの甘い雰囲気は消え去って、
爽やかな朝の雰囲気に変わる。


「カーテン買いにいかなきゃね。」
「あー、ほんとだね。困るもんね。」


眩しいしねって言ってるけど、
相葉さんの笑顔の方が俺にはずっと眩しいよ。


今日もまたこいつとの1日が始まる。

眩しい笑顔と、爽やかな空気とともに。



-end-
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