痴漢電車
第9章 尚輝の秘密
尚輝「いっつも元気で明るくて優しくて
自慢の姉貴だった」
千佳「そんな人がどうして…」
尚輝「…」
千佳「ごめん…無責任に聞いたりして…
無理に話す事ないから…」
尚輝「…傷つけられたんだ、ある男に…
姉貴の体と心を…」
千佳「男…」
詳しい理由は話してはもらえなかったが
お姉さんの死、自殺が尚輝の心に
深い闇を落としたのは
確かだった
尚輝「そんな事でって思うかもしれない
だけど姉貴にとっては死にたくなるほど
辛く耐え難い事で、だから…」
千佳「…?」
尚輝「だからお前も…」
コンコン(部屋をノックする音)
母「尚輝、いい?」
尚輝「待って、今行くから…」
千佳「…」
何かを言いかけて途中で言うのをやめた
尚輝が一体、何を言おうとしたのか
この時はわからなかった
千佳「…」
この時はまだ…