痴漢電車
第8章 未必の故意
係員「ごゆっくりお進みください」
亘「…」
芳恵「ねぇ、せっかくだし勝負しない?
どっちが先にゴール出来るか」
亘「負けたら?」
芳恵「負けた方が今夜の食事代を払う、
どう?」
亘「いいよ、負けないから」
芳恵「私だって」
千佳「…」
楽しそうに迷路の中へ入って行った二人
勝負という事で別々の道を選び
進んで行った二人
亘「…」
千佳「…」
話すなら今しかない
千佳は早足で亘の後を追いかけた
見失わないように気をつけながら一定の
距離を保ち二人になれる
その時を待った
千佳「…」
人気の迷路なのか人が途切れる事はなく
亘の前、後ろにはお客さんがいて
密かに話しかけるのは
難しかった
千佳「…どうしよう…」
亘「…」
だけどチャンスは意外な形で訪れた