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痴漢電車

第8章 未必の故意



亘「あれっ、行き止まりだ」

千佳「…」


もう何度目だろうか
方向音痴なのか亘は迷ってばかり
しかも行く場所行く場所、行き止まりで
素なのか

それともわざとか…


千佳「…」

亘「その帽子、似合ってないよ」

千佳「えっ?」

亘「…」

千佳「気づいてたんだ…」

亘「千佳の尾行、バレバレだよ」

千佳「…」


恥ずかしかったがバレてるなら話は早い
芳恵と会う前に要件だけ
伝えないと…


千佳「先生…」

亘「何」

千佳「さっきの事だけど…」

亘「…」

千佳「…実は私…町田君と付き合う事に
なって、でも…」

亘「別に俺は構わないよ」

千佳「えっ?」

亘「プライベートな事に口出しする気は
ないから」

千佳「…わかってる…」

亘「…」


そんな事、言われなくてもわかってる
割り切った関係だって
わかってる

だけど少しくらい嫉妬して欲しかった
少しは気にして欲しかった
嘘でもいいから…


千佳「…っ」


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