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こじらせた初恋

第12章 それは突然

翔 side







翔「…………は?……あなた今……なんて言った?」




いつもの部屋。いつもの口調。幸せな日常を壊すなんて簡単なことだった。







週末の仕事終わり。



俺はいつものように実家に帰って着替えもそこそこに、智のお母さんからもらったおかずを持って智の部屋に行った。



そのおかずを晩御飯にした。



相変わらず智のお母さんは料理が上手いな、なんて言いながら。



その時から少し違っていたのかもしれない。



いつも適当な食事をとってる智に、もっと野菜食べなきゃダメだよなんて小うるさいことを言っていた。



いつもなら、うるさいなー食べてるじゃんとか、母親かよとか文句言ってくるのに。



智「うん。ありがとう」



素直に食べたんだ。



でも俺はバカだから、今日はすごく良い事でもあったのかな。機嫌がいいな、としか考えてなかった。



ヒントは他にもあったんだ。



いつものように智が俺の膝元に座るのを待っていると、智は当たり前のようにソファに座った。



翔「こっちおいで」



そう言っても聞こえてない。



聞こえてるんだろうけど聞こえてないフリをする。



なんだろう。



優しいような。氷の壁でもできたような、冷たい態度。





あまりにしつこく呼ぶと、お尻痛くなっちゃうからと断られた。



いや、俺といる時いつも床座ってたじゃん!



って思ったけど言わない。



しつこい男は嫌われるから。


その我慢も裏切られる。






この後、智が言う言葉に耳を疑った。








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