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こじらせた初恋

第14章 冬日和の僕ら

翔 side







はあと息を吐くと白い息が出る。



会社の中なのに。



今朝見たテレビから今日は今年一番の冷え込みだと伝えていた。



今週を越えれば来週からは春の陽気に包まれるのだと。



春の訪れを待ちながら、こんな寒い日は人肌を求めていたりする。



と言っても、そんな相手いないけど。






前クラブで会った女の子に声をかけたが、もう彼氏ができたとフラれてしまった。



彼氏が居ても相手してくれそうなのに、と思ったが言わなかった。




こんな寒い冬にフラれ続きだな。




2人だけだけど。



1人は本気だったけど。







こんな寒い日に智に言えばソファにくっついて座れたかも。



俺のあげたブランケットに包まれれば幾らかあったかいだろう。



智は足が冷えるから俺の方に足をやってくるだろう。



俺はそれを冷たいよって言いながら受け入れるんだ。



ふふふ、あったかい。



そう呟く智に満足する。







あ、やばい。



泣きそうだ。



もうすぐ仕事も終わるし、さっさと片付けて家でひっそりと泣こう。



落ち着いたらリビングに行ってこたつであったまりながらみかんを食うんだ。






俺は智にしていた行為を後悔しながら生きていた。



だってあんなことをしなければ今でも智と一緒にいれたかもしれない。



俺が急ぎすぎてしまったんだ。






ああ、智。



こんな寒い日はあなたを抱きしめてあげたい。







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