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こじらせた初恋

第16章 あれから

智 side







だって。



智「もし仮に告白したとして。翔くんがもう俺のこと好きじゃなかったらどうするの?」



肩を掴んだ手が緩められる。



ズルズル降りていき、今度は俺の両手をニノの両手で握る。



俺はその温もりに涙が溢れる。



智「………ううぅ…」



そんなことできないよ。



智「……グスっ……翔くんにフラれたら俺………生きていけない………グスっ……………死んじゃう…」



翔くんを好きなことが唯一の誇りだったのに。



それが否定されたら生きる理由を失ってしまう。





ニノが俺の手をギュッと握った。







ニ「俺が一緒に死んであげます」







涙がポトリと手の甲に落ちる。



その涙の行く末を辿りながら、ニノは続ける。







ニ「もしフラれたら俺と一緒に心中しましょう」



智「そんなことっ……できなっ……」



ニ「できます!彼女が死んで、いつ死んでもいいと思ってた。大野さんと死ねるなら寂しくない!」



涙が止めどなく出てくる。



命をかけた応援に、俺は命をかける決心がつかない。





智「……」



ニ「なんなら引導を渡されるのに着いて行ってもいいですよ」



智「……」




ニ「大野さんならできます」




智「……」








ニ「だって大野さんはまだ生きてるんだから」









その瞬間張りつめていた糸がプツンと切れた。






智「うわああああん。ああああああああああ。ああああああああああああああああああああああああ」




久々に声を出して泣いた。



そんな俺の体を今度はニノが抱きしめてくれる。




智「わあああああああああああ。あああああああああああああああああああ」




おれはその体にしがみついて咽び泣く。



ニノはこれ以上ないくらいギュッと抱きしめてくれた。



ニ「大野さん。きっとうまく行きますよ。自信持って下さい」



智「うううう………ひっく…ひっく…………ううぅ…ニノぉ……」



居酒屋で大の男が泣いている。



ニ「俺がついてますから」




周りの喧騒がそれを消していった。








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