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こじらせた初恋

第17章 つなぐ

翔 side







今週は雪が降った。



翔「さむ……」



吐く息の白さが余計に冬の寒さへと誘う。






去年のあの日も雪が降ったな。



もう1年なんて信じられないな。



あの雪を見て、智も俺のことを思い出してくれているだろうか。






叶わぬ想いを抱きながらも、彼の事を思い出してはほっこりする。



今思えばあの人マイナスイオンでも出てたんじゃないかな。



すごい癒し効果あったな。





思い出の中の変わらないあの人に思いを馳せながら、目的の本屋に着いた。



母親におつかいを頼まれたからだ。









昔は休みの度に出かけてた。



なんなら出かけないと調子悪くなってた。



でも智と離れて、智と出会う前に何してたか全く思い出せないでいた。



俺は休みの日何してたんだろう。



智と会わなくなって。



前の自分に戻るだけだと思ったのに。



その「前の自分」が全く思い出せないんだ。







あれから俺は家でダラダラしたり、家でゴロゴロしたり。



昼寝したり、携帯見たり。



とまあ、有意義な生活を送ってるワケだ。



そんなグータラな俺を見かねた母親が本を買ってくるように言ってきた。



自分で買いに行けるんだろうが、俺の為に言ってくれたのは理解していたので、のそのそと出かけた訳である。







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