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こじらせた初恋

第4章 舞い戻った友情

智 side







翔くんは仲直りの握手をしてからよく来るようになった。



智「料理もできたら完璧なのにね。お母さん」



翔「誰がお母さんじゃ。コラ」



翔くんは掃除が得意。



俺の部屋に来るといつも掃除してくれる。



どうしたらこんなに散らかるんだよっ!!ってプリプリしながら。



こないだ、大きい箱を3個持ってきて



翔「これは洗濯物。これはまだ着るもの。これはたたまなくていいから、乾いた服入れるもの。わかった?」



そのへんに散らかってる服を全部洗濯しちゃうから、文句言ったらこのシステムが導入された。



めんどくさいなぁって顔したら、全部洗濯するのとどっちがいい?って目が言ってた。



智「わかりました」



翔くんはわかればいいんだよ、と満足そうだった。



けっこうめんどくさいんだなぁ、翔くんて。



言わないけど。



そんな翔くんも、料理だけはできなかった。



いつも晩ごはんの弁当とかお菓子とか買ってきてくれるから、悪いなって思って、俺が晩ごはん作ることも少なくなかった。



それで、よく晩ごはん作ってもらって悪いからって、なぜか翔くんも作るってなって。



でも翔くんは料理ができなかった。



勉強はできるけど、家庭科の調理実習で作るのはいつも散々だった。



サラダすらまずく作るのだ。



そういや、お前作らなくていいからって班から追い出されてたね。ひたすら皿洗いしてたな、翔くん。



で、結局翔くんはごはんに目玉焼き、その上に醤油をかけたもの。



目玉焼き?



智「この黒いのは?」



翔「いいから食え。うまいから」



一口食べて、それ以上噛めない。



なんだ、これ。



卵焼き過ぎたってこんな味にはならない。



まさか卵が去年のだった…?



翔くんの方を見たら同じ顔してた。


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