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こじらせた初恋

第6章 久しぶりの部屋

翔 side







翔「忙しかったけどさー。智におかず届け隊としてはさー。業務全うできなかったこと残念に思っております」



智「誰だよ。どんな隊だよ。翔くんしかいねーじゃん」笑



翔「隊長、兼隊員だけどね。おかずも届けられてないけど、あなたちゃんと食べてるのかなって。そっちが心配だったよ」



すると、智は、聞こえませんとでも言うように、知らんぷりした。




翔「さては、食べてないな!残業続きでめんどかったんだろっ!」



智「た!食べてるよぉ。しつれいだなぁ。翔くんは…」



智の声は、だんだんと語尾が小さくなっていった。


全然、説得力ないなあ。



翔「まっ、来年からはまた、定期的に行くから覚悟しとけよっ!」



智「うん!翔くんが来るの楽しみにしてる!」



ふにゃんと笑った智はかわいかった。



智「忙しかったけど、翔くんに会えないの、寂しかったなあ」



さっき、迷惑かけないようにするって決めたのに、その決意はもう、揺らいでいた。




智「翔くん?」



智の側に寄って、まじまじと顔を見る。



ホントにキレイな顔だな。



智「このビスケット食べる?」



右手にビスケットを持って、俺の口に持ち上げてくる。



その右手首を掴んで、智を引き寄せる。



俺の顔のすぐ下に智の顔がある。



パチパチと瞬きする大きな目。



筋の通った鼻。



ビスケットの欠片をつけた、唇。



その唇に吸い寄せられる。



その時だった。







ピピピピピッ、ピピピピピッ



智「翔くん。携帯鳴ってるよ?」




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