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こじらせた初恋

第6章 久しぶりの部屋

翔 side







部屋に戻ると智がため息をついていた。



キスが嫌だったんだろうとは思っていたけど、見るからにため息をつかれるとヘコむ。



俺にヘコむ資格なんて無いのに。



智の気持ちも無視してキスしようとしたんだから…



ワガママなんだな、俺。



気を取り直して、いつものように、おちゃらけて話すと、智はあからさまにホッとしていた。



その様子も、俺の胸を苦しめた。




智「髪濡れてるよ」



勝手に落ち込んでいたら、智が手を伸ばしてきた。



咄嗟に、振り払ってしまった。



あ。まずい。



智は驚いた顔した後、俯いて悲しげな顔に変わった。



翔「ごめん、急に触ってきたから驚いちゃって。顔洗ったんだ」



わざとらしく取り繕ってみる。



何言ってんだよ、俺。



さっき、抱きしめといてそれな無いだろ、俺。



言えるワケない。



智を意識しすぎてしまったなんて…



意識しすぎて緊張してしまったなんて…











翔「しばらく行けなくてごめんね」



気を取り直して2人で床に座った。



お菓子をもしゃもしゃ食べながら、何も無かったように智に謝った。



智も、気にしてないのか、ビスケットを食べていた。



智「何言ってんの。忙しかったんでしょ。俺も残業ばっかりだったし。もし来てもいなかったかもしれないし」



また、智は気を遣ってくれた。



忙しかったのは本当だろうけど。




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