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こじらせた初恋

第8章 君と僕にあるもの

二宮 side








その部長が教えてくれた。



大野というヤツが、部長同士取り合ってるのだと。



なんでも、資格はたくさんあるわ、大学でたくさん活動してたわ、いざ面接したら人当たりもいいわ、で即採用。



「しかも。美形と来たもんだ。他の内定蹴ってコッチ来させたらしいぜ」



さてどこの部署になるかねーと、部長が呑気な声を出していた。





その部長たちの取り合いも納得するほど、配属された部署で大野さんはその実力をいかんなく発揮した。



普段ポワンとしているので、みんな気付かないが、その部署の仕事のほとんどが大野さんがこなしていた。



しかも自慢しないんだって。嫌になっちゃうよね。



と思ったら、本気で気づいてないだけで、自分がどれだけ仕事してるか最近気づいたんだって。俺に言われて。



嫌になっちゃうよね。



俺と全然違う仕事をしているので、会社で会うことは無いけど、大野さん仕事ぶりの噂は俺の耳にも入ってきた。



そのおかげで、会社としては異例のスピード出世をしている。



同期としてはもちろんトップだし、俺より稼いでいる。
(俺はお金が大好きです。ちなみに俺が2番目に稼いでいます)




部長に始め聞いた時、正直、気にくわなかった。



そりゃ、能力の違いはあるのはしょうがないが、まだ会ってもない同期となる人間が、こんなに褒められるのは面白くない。



俺だってスペックは悪くないはずだ。



資格もたくさんあるし、面接の手応えもあった。



「あ、誤解すんなよ」



そんな俺の気持ちが伝わったのか、部長が声をかけた。



「お前も取り合いになりそうだったんだぞ」



信用できない、正直。



俺がジトっと部長を見る。



「ははは。信用しろよ。俺、力あるから」



だから、すんなり俺の配属が決まったんだ、とニヤリと笑った。




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