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こじらせた初恋

第9章 誤解

二宮 side







俺は部屋に上がらず玄関に立っていた。



智「ニノどうしたの?翔くんいるよ?」



大野さんはまだ玄関にいる俺に駆け寄ってきた。



その翔くんとやらがいるから上がってないんですけどね。



めっちゃくちゃ嬉しそうな顔しちゃって、まあ。



ニ「俺帰るよ」



智「え?なんでなんで?」



俺の発言に、大野さんの眉尻が下がった。



ニ「いや、俺お邪魔でしょ」



智「邪魔じゃないよ。それに帰れないじゃん」



ニ「タクシーで帰るよ」



もうこれ以上幼馴染を神経を逆なでしたくないよ。



さっきから部屋の向こうからめちゃくちゃ殺気感じるんですけど…



智「そんなのもったいないじゃん。ほら上がって上がって」



大野さんは靴を脱がすように促し、部屋の中へ導いた。



智「翔くん。ニノだよ」



幼馴染は不機嫌丸出しで部屋の中にいた。




俺のことを一瞥すると、目を逸らした。



ニ「どうも、二宮です」



翔「ども」



こんな冷えた自己紹介があっていいのだろうか。



部屋の温度がどんどん下がっているのを感じる。



以前大野さんが言った、きっと合うと思うんだ、って言葉が頭を掠める。



全然合う気なしないよ。



向こうが合わせてくれる気配が無いよ。



怖いよー。



何を思ったのか、大野さんが俺の手を握った。



智「俺たち恋人でーす!」



は?



勢いよく大野さんを見たのは、俺とこの幼馴染、どちらが早かっただろう。



ニ「何言ってんの?」



俺は大野さんの手を離した。



智「いいじゃーん。隠すことないじゃーん」



コイツ酔ってる。



盛大にふざけてる。



感じないかな。君と俺らの温度差。



幼馴染は俺を睨んでるよ。



その殺気に殺されんじゃないかな。







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