うちの社長が酷すぎる!
第7章 環境の変化
その日の仕事も無事終わって、わたしは自分のマンションに帰る。
鍵を開けようとバッグの中に手を入れていると、カンカン、と階段を登る音が聞こえた。
寧々さんだったら挨拶しようかな、と思い鍵を開けるのを一旦やめる。
「あ、やっぱり帰ってきてた」
階段を上がってきたのは、寧々さんではなくヒカル。
…ヒカルとは、昨日の夜に別れてからは初めて会う。
「こ…こんにちは。ってもう、夕方か…あはは……」
告白されて、フッて、彼氏に会って修羅場に巻き込んでしまって。
…今思うと、わたし最低じゃん。
「なんか、久しぶりな気がするな。」
「そう…だね」
ヒカルは涼しげな表情だった。
まるで、なにかに吹っ切れたような。…でもわたしへの想いも断ち切ったんだし、吹っ切れて当然か。
その表情になにか、嫌な気配を感じたけど平静を装う。
「えと……ヒカルは、なんでこっちに?」
「お前に用事あったんだよ。いま、暇だろ?」
「…人を見かけで判断するの、良くないと思います。暇だけど!!」
ヒカルは声を上げて笑った。「んじゃ、ちょっと 部屋入れてくれよ。」
…わたしは、なにも疑わずにヒカルを部屋に入れた。