うちの社長が酷すぎる!
第8章 突然のこと
「邪魔するぞー」
ヒカルはのんきにそう言って、わたしの部屋に足を踏み入れる。
前と違って、ヒカルの顔に浮かぶ表情はどこかぎこちなく見えた。
……前まで、もっと自然で、そんなぎこちない笑みなんて浮かべなかったのに。
フッたから、なのかな。
「稀乃、飯食った?」
「あ、いま仕事帰りだからまだ」
「んじゃ同じだ。なんか作ってー」
ヒカルはそう言ってテレビをつけた。
「…やりたい放題ですね、大家さん」
「まぁな。いちおー、俺の家だし?」
ニヤリと笑ってリモコンを操作するヒカル。
…あ、なんかさっきより空気が自然かも。
そう思って、肩の力を抜いた。