うちの社長が酷すぎる!
第9章 波乱
「…で、話って?」
足を組み直して社長がわたしに問うた。
「社内でわたしと社長の熱愛が噂されてるんです」
「へぇ」
「社長は知ってましたか?」
「知ってたも何も、流したの俺みたいなもんだし」
え、と固まると社長はさっきの余裕のえみとはまた違った、悪魔のような笑みを見せた。
「俺が最初に社員に言ったんだぞ」
なにいってるの…この人
「え、は…なんのために?」
「決まってるだろ?」
社長はデスクに預けていた身体を起こして、わたしに近づく。
真新しく艶めいた革靴が、コツコツと音をたてる。
「……おもしろくなるから。」
気がついたらゼロ距離で、わたしは社長にキスされた。