うちの社長が酷すぎる!
第9章 波乱
その後は、社長も雄飛も淡々としていた。
何やら2人はわたしが来るまでは、必要な手続きや会社の規則・モットーを話していたらしい。
交際している事実を知ったときも、社長は特別表情に変化を出したりはしなかった。
…まあそうだよね、だってわたしはアソビのひとつだし。
アソビ相手に相手がいたってだけだもん。
「武藤、お前は自分のオフィスやデスク等設備を確認しておけ」
「分かりました!失礼します」
雄飛は部屋を出る直前わたしを見て、控えめに手をふった。
わたしも手を振り返し、扉が締まる。
音が一瞬でなくなり、静寂が訪れた。
「あいつが、前言ってた彼氏?」
「……そうです」
「へえ。」
社長はさっきの威厳ある態度と違って、立派な社長用デスクに腰掛けた。
足を組み、わたしを眺める。
「なにおまえ、あぁいう感じのが好きなんだ?」
「だからなんですか?」
睨み返すと、社長はふっと笑った。
余裕のある態度…
やっぱりわたしなんて、本気じゃなかったんじゃん。
知ってたし、わたしには雄飛がいるから。
別に関係ない。あんなのただの夢だったんだ。
あんなに社長と愛しあった日なんて。