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うちの社長が酷すぎる!

第1章 突然の転勤

ピタリ、と時が止まる感覚。

……何も考えずにただ抱きついちゃったけど…
これっていわゆる大ピンチ!!!?

「あっああああの!落ち着いてください!!」

とりあえず抱きついたままヒカルさんに話しかける。
ヒカルさんはゆっくり拳を降ろした。それと同時に掴んでいた海叶の胸倉も離す。

「……なんで止める?」
「…え…?」
「お前は今…、こいつにヤラれそうになってたんだろ?だったら殴られるのを見てスッキリするべきじゃねーのか!?」

私の両肩を掴んで、怒鳴るヒカルさん。
その剣幕に、いつもの私なら身体を震わせて泣いていた。
…でも。

「…確かに、そうです。でも、私は…海叶が傷つくのも、殴って罪悪感に悩むヒカルさんを見るのも嫌です」

きっぱり言い切った。
…いつ殴られるか、私は身体を固くする。

……頭に優しい感触。
目を開けると、ヒカルさんの手が乗っていた。

「…悪かった」
「…オレも、ごめんね橘」

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